個人面談/7



「だいいち、オレだけハメを外したところを見られてお終いってのも、不公平だからな。コイツをしゃぶっていた間に見せてもらったアンタの淫らな本性……トコトン、さらけ出してもらうぜ」
「あ……!」

 神乃木の器用な手は、あっという間に千尋の短いスカートをたくし上げ、ぴったりと閉じられた太股のわずかなすき間に潜りこんだ。

「ちょっと……! わ、私に責任を取れって言ったのは、神乃木くんじゃないのよ!?」
「これでも、レディファーストってやつをモットーにしててね。オンナにだけサービスさせっぱなしで自分だけイイ思いをするのは、オレのルールに反するんだよ」
「別に私は、そんなことしてもらいたくなんか……ひぁっ!」

 神乃木は千尋の腿に差し入れた指をぐっと押し上げ、千尋の反論を強引に封じ込めた。
 たまらず、千尋が鋭い息混じりの切羽詰まった声を漏らす。

「それに、さっきのアンタの様子じゃ……あのまま帰されたら、部屋に帰ってから一人でやりまくらないと眠れないぐらい、もうカラダがうずいて止まらなくなってる……って、そんな感じに見えたけどな」
「…………!」

 わざと卑猥な言葉を重ねた挑発に、千尋の顔は怒りと恥ずかしさで、みるみる真っ赤に染まっていった。

「いいかげんなことを言わないでちょうだい! そんなこと、ありませんっ!」
「そうか? 奥が濡れているのが、ここからでもはっきりわかるぜ」
「えっ……!?」

 千尋が焦りの表情を浮かべるのを見て、神乃木はしてやったりとばかりに、意地の悪い笑みを浮かべる。

「……クッ。そう、慌てたカオするんじゃねえよ……ただの、ハッタリさ」
「…………な! 神乃木くん、あなたって人は……!」
「でもよォ。それだけ焦ったってことは……思い当たるフシがあったんだよなぁ?」

 騙された怒りに千尋が言葉を重ねようとするのを、神乃木は鋭く斬りつけるように遮った。

「…………! そ、それは……」
「さっきも言ったけどよ……生徒のお手本たる教職者さまが、教え子にウソをついちゃマズいだろ」
「……私、ウソをついたつもりなんて……」
「じゃあ、確かめさせてもらうぜ」
「……あっ!」

 弱々しい反論の言葉をさえぎって、神乃木はあらわになった千尋の下着の中にその手を潜り込ませた。

「……だ、ダメっ! そんなとこっ……あぁ……っ!」

 下から身体の芯に沿ってくすぐるように軽く撫で上げられ、千尋がかすかに切ない声を上げる。
 神乃木は満足げにそんな彼女を見下ろし、焦らして弄ぶようにゆっくりと奥のほうに指先を滑らせてゆく。

「あ……はぁ…………あっ!」

 千尋が、悲鳴のような喘ぎを上げた時のことだった。

 神乃木の指先が触れたところから、かすかに、しかし、はっきりと。くちゃっ……と、猥らな音が聞こえた。

「ん? センセイよぉ……聞こえたよなあ、今の音」
「……っ!」
「やっぱり、濡れてるんじゃねえか。まったく……すぐバレるウソなら、ハナからつくんじゃねえよ」

 神乃木はいっそう意地悪い微笑を浮かべて、さらに指の動きを強めていった。

「ああっ……ん、っ…………はぁ、あ……あ、あっ!」

 くちゅ、くちゅ……と、わざと淫靡な音を強調させるように神乃木が指先を蠢かせるたび、千尋は身をくねらせ、あられもない声を上げる。

「どんどん、濡れてきやがる。もう、ぐちょぐちょになってるぜ……」
「…………! お、お願い、もう……」
「もう? ……ああ、こんなになってちゃ、もう指じゃガマンできないよなあ。悪かったな、気づかなくてよ」
「ち、違うわ! ……あっ!」

 神乃木は、すでに力の抜けきった千尋の身体を軽く押し倒し、わずかに身体を覆っている服をやすやすと剥ぎ取った。
 あらわになった千尋の日焼けひとつない柔らかい肌を、視線で舐め回すように神乃木が見つめる。

 全身をくまなく見られる恥じらいにますます熱く頬を染める千尋を見下ろして、神乃木は皮肉っぽい微笑みを浮かべながら呟いた。

「……想像以上、だな」
「想像……?」
「……アンタ。オレたちぐらいの野郎の頭ん中がどうなってるか、考えたことあるか? 目の前に、スタイル抜群の美人なセンセイがいたら……頭の中ですることなんて、一つしかないぜ」
「……ど、どういうこと?」
「賭けてもいいさ……この学校の男子は、一人残らずアンタのハダカを想像したことがあるはずだ。まあ、ほとんどの奴は、ハダカにするだけじゃなくって……アンタのこんな姿を好き放題に思い浮かべて、独りでせっせとナニをしごいただろうよ」

 露骨な表現に、千尋がすでに充分すぎるほど熱くなった頬をますます赤らめる。

「この学校にゃ、300人ぐらいのオトコどもがいるからな。アンタは最低でも300回は……誰かの頭の中で、あえいで、よがって、イキまくったってわけだ」
「そんな、人を、勝手に……」
「仕方ねえだろ。そんだけキレイで、色っぽいんだからよ……妄想するなってほうがムリってもんだぜ。それに、実際……現にこうして、オレの目の前で、こんなにここをグショグショに濡らして、感じまくってるじゃねえか」
「……は、あっ!」

 不意に秘部の溝をすくい上げるように撫で上げられ、千尋は再び悲鳴のように喘いだ。

「ここだけじゃないぜ。こっちも、随分いい反応してやがる」
「やっ……あ、あぁ…………あ、ん……っ!」

 そこへの愛撫を止めないまま、同時に固く尖った胸の先端を攻めたてられ、千尋の声がますます切ない響きを帯びる。

「……はぁん…………ああっ……ん……はぁ、あっ……あぁっ!」

 神乃木の手から逃げるように動けば動くほどに、強い刺激が千尋の身体を襲った。
 千尋の乱れる声が高まるさまが、さらに神乃木を昂らせてゆく。

「本当にいやらしいオンナだぜ、アンタは……誰の頭ん中で犯されたアンタも、今ここで喘いでるご本人様の乱れっぷりには、とうていかなわねえだろうなァ……クッ!」

「あぁ……や、やめて、それ以上……はあっ!」

 自身の蜜にたっぷりと濡れた指先で、すでに膨らんでむき出しになった身体の芯を強く押さえられて、千尋は悲鳴のような声をあげ、びくんと身体を震わせた。

「『やめて』? 『もっと』の間違いだろ……ここが、こんなに悦んでるじゃねえか」
「ああっ……!」

 神乃木は容赦なく、千尋の一番敏感なところに指先を押しつけ、休むことなく攻め続ける。

「はあぁ、あっ…………ひぁっ……あ、あぁ! は、あ……あんっ……!」

 神乃木に刺激されるたびに、千尋は身をよじって淫らな声を上げ、熱い蜜をとめどなく溢れさせた。

「どこまで濡らすつもりなんだよ……このままじゃ、床までビショビショになっちまう。……そろそろ、ケリをつけてやらねえとな」
「あ……」

 身体の奥に押し当てられたものの気配を感じて、千尋がかすかに身体をこわばらせる。

「ほら、アンタが欲しくて欲しくてしょうがないモノは、これだろ……!」
「あ……ああぁっ!」

 神乃木は、そんなささやかな抵抗などお構いなしに、一気に千尋の一番深いところを貫いた。
 全身を突き通す強烈な快楽に、千尋は身体を反らせて、己を貫いている彼自身を激しく締めつける。

「……っ! さっきもヤバかったが、こっちは、もっとヤバい……いいぜ、すごく……!」

 神乃木も、激しい快感をこらえるかのように、千尋の身体をしっかりと押さえ込む。そして、ゆっくりと大きく動き、彼女を突き上げはじめた。

「はあっ! ……ああっ…………あ……っ!」

 神乃木に刺し貫かれるたびに、千尋は身体をふるわせ、激しく声を上げる。

「いやらしいのは、見た目や声だけじゃねえんだな……オトコを咥え込んだアンタの中が、どんどん締めつけてきやがる……」

 突き上げるごとに熱く脈打つ彼女の中を全て征服するように、神乃木は千尋の最も深いところに腰を打ち続けた。

「だ、だって、神乃木くんが……すごく、熱くて、固くて……あぁっ!」

 身体の一番奥を思いきり突き上げられ、千尋がびくんと背中を引きつらせる。

「あぁ……もう、あ……わ、私…………あぁん……はんっ!」

 千尋がうわごとのように喘ぐ合間には、神乃木の熱い息遣いと、濡れたものが擦れあう淫らな音が響いていた。

「はぁ……ん……あっ…………そこ、いいの……んっ……」

 千尋の声が、次第に甘くこぼれるようなものに変わっていく。

「クッ、オレもだ……! ……こんなにイイのは……初めてかも知れない、ぜ……」
「あ……わ、私も、こんなの……あっ、ああ……んっ!」

 いつの間にか千尋は、神乃木が彼女を突くリズムに合わせて自分から腰を動かし、自ら快楽を求めていた。
 彼女の昂りに呼応するように、神乃木も動きを早め、さらに強く千尋をゆさぶっていく。

「ひあ、っ……! あ、あぁ……気持ち、いいの……あ、んんっ……!」
「く……アンタの中、ただでさえ良すぎるってのに、こんなの……ヤバすぎだ……」

 神乃木は千尋の身体に打ち込んだものを一心不乱に突き動かしつづけ、千尋は無我夢中で神乃木にしがみついて全身をくねらせる。
 すでに二人とも、相手の中に溺れ込むように、お互いに高まる快感をぶつけ合っているだけだった。

「はぁ、あ、あっ……か、神乃木くん……っ!」

 急に千尋が全身に緊張を走らせ、切羽詰まった声を上げた。
 その切ないまなざしは、快楽の絶頂が押し寄せていることを何よりも雄弁に物語っていた。

「ああ、わかってるさ……!」

 神乃木はうなずいて、ひときわ激しく彼女を突き上げた。

「あ……あぁ…………あ、ああぁッ!」
「…………センセイ……っ!」

 二人の高まりきった声が、重なる。
 そして同時に、お互いの中にあるものが大きく脈打った。

「……………………!」

 熱く迸る奔流に、二人の意識が、快楽の色に塗りつぶされてゆく。
 急に力の抜ける相手の身体を感じながら、彼らの視界は白くぼやけて、ゆっくりと薄れていった……。



「……センセイ。アンタの勝ち、だぜ。連帯責任完了、ってやつだ」

 そのまま、しばしの時が流れた後。
 神乃木はゆっくりと体を起こし、千尋の耳元に低く囁きかけた。

「神乃木くん……」

 ぼんやりと体を横たえたまま、千尋が神乃木の顔を見上げる。

「結局、こんなことになっちゃって……。私……教師失格、ね」

 力なく呟いてのろのろと起き上がる千尋を、神乃木は少し皮肉っぽく微笑んでしばらく見つめ、おもむろに口を開いた。

「……そうかも知れねえな。けどよ……カンペキな先生やってる色気もへったくれもないオンナより、感じてるカラダに流されて生徒と最後まで行っちまうような、ふしだらなオンナのほうが……オレは、好きだぜ」

 そう言って神乃木にじっと目を見つめられるうちに、千尋の頬がみるみる赤く染まってゆく。

「…………。神乃木くん、フォローになっていないわよ、それ……」

 しばらく神乃木と見つめあっていた千尋は、それだけ言って、照れたように目をそらした。

「……クッ。いいじゃねえか、本当のコトなんだからよ。じゃあ……約束通り、今日は帰ることにするさ」

 乱れた衣服を直し、神乃木が立ち上がる。
 千尋もホッとしたように頷いて、服を整えはじめた。

「……そうしてちょうだい。私は……少し、ここで休んでいくから」
「ああ。ところで、センセイ……」
「なにかしら?」

 神乃木は、ニヤリと笑ってドアに手をかけ、振り向きざまに答えを返した。

「次の個人面談は、いつだい? オレは、いつでもいいぜ……やりたくなったら、また声をかけてくれよ」
「…………! か、神乃木くんっ!」
「じゃあセンセイ……また近いうちに、な!」

 真っ赤になって怒る千尋を尻目に、神乃木は素早く部屋を出て、からかうように扉を閉めてしまった。

(もう! 本当に、ひと筋縄じゃいかない子よ……!)

 千尋は、閉じられたドアを恨みがましくにらんで、大きくため息をつくしかなかった。


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……うだうだ言い訳したいことは山ほどありますが、多くは語りません(汗)。
たぶんこれが、私のエロ適正限界値ということで……



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