「クッ……! とことん、お堅いオンナぶって誘うのが好きなセンセイだな。そんな、男なんて知りませんって触り方されちゃ……余計、めちゃくちゃにしてやりたくなるじゃねえか」 今にもはじけそうなほどに張りつめたジッパーをもどかしげに下ろしながら、神乃木は千尋の頭を乱暴に抱えて、自身の目の前に彼女の顔を引き下ろした。 「……咥えな」 「…………っ!」 これ以上ないほどに怒張したものをいきなり突き出されて、千尋が思わずひるんだように息を呑む。 「初心なフリしてんじゃねえよ。どうせ、今までさんざんやってきたんだろ」 「そ、そんなこと……」 「じゃあ、やったことねえのか?」 「…………」 とっさに言葉に詰まった千尋を見て、神乃木の口調がますます意地の悪いものになってゆく。 「ほら、やっぱりあるんじゃねえかよ。いやらしいことが大好きなうえにウソつきときてやがる……本当に、とんでもないセンセイだよなぁ」 「…………! お願いよ……そんなこと、言わないでちょうだい……」 「本当のことだから、しょうがねえだろ。さあ、やってみろよ……いつもやってるみたいに、な」 言葉での辱めに力なく緩んだ千尋の唇に、熱くたぎった剛直が押し付けられる。 「んっ……!」 彼女の弱々しい抵抗などものともせず、神乃木は固く反り返った欲望そのもので、容赦なく千尋の唇をこじ開けた。 「んん……んむぅ…………んっ!」 いきなり口の中を犯された千尋の抵抗の声は、そのまま激しい舌の動きとなって、神乃木への奉仕に変わる。 「…………。やっぱりアンタ、根っからの淫乱……だぜ。でなきゃ、こんな舌の使い方……できるわけがねえぜ……」 神乃木は満足げに、千尋の舌がまとわりつく感覚に身を任せている。 「ん……ん…………っ……」 そんな神乃木の様子に流されるかのように、千尋のあらがう声はだんだんと小さくなっていった。 「……………………」 いつしか千尋は、何かを言おうとした結果としてではなく、自らの意思で、口の中に押し込まれたものに舌を這わせていた。 ちゅく、ちゅく……と、淫らな音だけが、狭い部屋の壁に吸い込まれてゆく。 「そうだ……。すごく、いいぜ…………クッ!」 千尋の舌にひときわ激しくからめとられた瞬間、弾かれたように神乃木は全身をふるわせ、息を呑んだ。 「…………。んっ…………」 「…………!」 彼の反応をちらりと上目遣いで眺めて、千尋は舌の動きをますます強め、口全体で扱くように愛撫を重ねていった。 緩急をつけて上下にゆさぶる千尋のリズムに合わせて、神乃木の呼吸が荒々しく乱れる。 「クッ、そろそろ……ヤバイ、か……」 神乃木がかすかに漏らした声を聞いて、千尋がいよいよ最後の仕上げに入ろうとした、その時。 「…………! ……え?」 急に空気が肺に流れ込んできたのに驚いて、千尋は戸惑いの声を上げた。 神乃木はいつの間にか身体を引いて、千尋の口を塞いでいたものを外し、浅く乱れた息を整えながら彼女の顔を見つめている。 「神乃木、くん……?」 もの問いたげな千尋の視線に応えるかのように、神乃木はかるく皮肉な笑みを浮かべ、千尋に向き直った。 「さすがは、夜の授業をたっぷり実地で勉強してきたセンセイだぜ……耳年増なだけのガキなオンナどもとは、ひと味もふた味も違うな。……あのまま、いかされちまうかと思ったぜ」 「え……? だって、私に“責任”を取れって……」 “責任”を果たす寸前で突然止められた真意を量りかね 、千尋が困惑したまなざしを神乃木に向ける。 「忘れてもらっちゃ困るな。オレは、アンタをもっとめちゃくちゃにしてやるって……そう言ったんだぜ。それに、あのまま帰ったらおさまらなかったのは、アンタだって同じはずだからな……オレにも一応、連帯責任ってやつがあるだろ」 「きゃっ……!」 千尋が悲鳴を上げるのを気にもとめず、神乃木はニヤリと笑って、再び千尋の身体を引き寄せた。 |