個人面談/6



「クッ……! とことん、お堅いオンナぶって誘うのが好きなセンセイだな。そんな、男なんて知りませんって触り方されちゃ……余計、めちゃくちゃにしてやりたくなるじゃねえか」

 今にもはじけそうなほどに張りつめたジッパーをもどかしげに下ろしながら、神乃木は千尋の頭を乱暴に抱えて、自身の目の前に彼女の顔を引き下ろした。

「……咥えな」
「…………っ!」

 これ以上ないほどに怒張したものをいきなり突き出されて、千尋が思わずひるんだように息を呑む。

「初心なフリしてんじゃねえよ。どうせ、今までさんざんやってきたんだろ」
「そ、そんなこと……」
「じゃあ、やったことねえのか?」
「…………」

 とっさに言葉に詰まった千尋を見て、神乃木の口調がますます意地の悪いものになってゆく。

「ほら、やっぱりあるんじゃねえかよ。いやらしいことが大好きなうえにウソつきときてやがる……本当に、とんでもないセンセイだよなぁ」
「…………! お願いよ……そんなこと、言わないでちょうだい……」
「本当のことだから、しょうがねえだろ。さあ、やってみろよ……いつもやってるみたいに、な」

 言葉での辱めに力なく緩んだ千尋の唇に、熱くたぎった剛直が押し付けられる。

「んっ……!」

 彼女の弱々しい抵抗などものともせず、神乃木は固く反り返った欲望そのもので、容赦なく千尋の唇をこじ開けた。

「んん……んむぅ…………んっ!」

 いきなり口の中を犯された千尋の抵抗の声は、そのまま激しい舌の動きとなって、神乃木への奉仕に変わる。

「…………。やっぱりアンタ、根っからの淫乱……だぜ。でなきゃ、こんな舌の使い方……できるわけがねえぜ……」

 神乃木は満足げに、千尋の舌がまとわりつく感覚に身を任せている。

「ん……ん…………っ……」

 そんな神乃木の様子に流されるかのように、千尋のあらがう声はだんだんと小さくなっていった。

「……………………」

 いつしか千尋は、何かを言おうとした結果としてではなく、自らの意思で、口の中に押し込まれたものに舌を這わせていた。
 ちゅく、ちゅく……と、淫らな音だけが、狭い部屋の壁に吸い込まれてゆく。

「そうだ……。すごく、いいぜ…………クッ!」

 千尋の舌にひときわ激しくからめとられた瞬間、弾かれたように神乃木は全身をふるわせ、息を呑んだ。

「…………。んっ…………」
「…………!」

 彼の反応をちらりと上目遣いで眺めて、千尋は舌の動きをますます強め、口全体で扱くように愛撫を重ねていった。
 緩急をつけて上下にゆさぶる千尋のリズムに合わせて、神乃木の呼吸が荒々しく乱れる。

「クッ、そろそろ……ヤバイ、か……」

 神乃木がかすかに漏らした声を聞いて、千尋がいよいよ最後の仕上げに入ろうとした、その時。

「…………! ……え?」

 急に空気が肺に流れ込んできたのに驚いて、千尋は戸惑いの声を上げた。

 神乃木はいつの間にか身体を引いて、千尋の口を塞いでいたものを外し、浅く乱れた息を整えながら彼女の顔を見つめている。

「神乃木、くん……?」

 もの問いたげな千尋の視線に応えるかのように、神乃木はかるく皮肉な笑みを浮かべ、千尋に向き直った。

「さすがは、夜の授業をたっぷり実地で勉強してきたセンセイだぜ……耳年増なだけのガキなオンナどもとは、ひと味もふた味も違うな。……あのまま、いかされちまうかと思ったぜ」
「え……? だって、私に“責任”を取れって……」

 “責任”を果たす寸前で突然止められた真意を量りかね 、千尋が困惑したまなざしを神乃木に向ける。

「忘れてもらっちゃ困るな。オレは、アンタをもっとめちゃくちゃにしてやるって……そう言ったんだぜ。それに、あのまま帰ったらおさまらなかったのは、アンタだって同じはずだからな……オレにも一応、連帯責任ってやつがあるだろ」
「きゃっ……!」

 千尋が悲鳴を上げるのを気にもとめず、神乃木はニヤリと笑って、再び千尋の身体を引き寄せた。


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