「ダメよ、神乃木君……こんなこと、いけないわ」 あちこちに触れてくる手を懸命に防ぎながら、千尋はどうにか神乃木の説得を試みる。 「何がだ? オトコとオンナが二人っきりで、邪魔者もいねえんだ……何も問題なし、だぜ」 「その前に、私は教師で、あなたは教え子じゃない! 問題大ありよ……!」 「センセイと生徒にゃ恋愛の自由がないなんて、誰が決めたんだ? オレは、センセイだろうと年上だろうと、いいオンナならいっこうに構わねえけどな」 「だから、そっちが構わなくても私が構うのよ……ちょっと、いい加減にしなさい!」 減らず口をたたきつつ、千尋の妨害をやすやすとかわして、神乃木はブラウスのボタンを外し始めた。 慌てて千尋が強く叱りつけても、まったく動じる様子はない。むしろ、そんな彼女の反応を楽しんでさえいるようだった。 「クッ……さんざキレイな胸元をチラつかせといて、今さらお堅いセンセイぶるんじゃねえよ」 「チラつかせるなんて……そんなことした覚えはありませんっ!」 「じゃあ、その気がないのに、いつでもオトコを誘ってるのと同じってことじゃねえか。余計、タチが悪いぜ」 神乃木の器用な手は瞬く間に全てのボタンを外してしまい、キャミソールの隙間から豊かな谷間に滑り込んでゆく。 「神乃木君、無茶なことを言わないでちょうだい……あぁっ!」 何とかその腕から逃れようとする千尋をしっかり押さえつけたまま、神乃木は容赦なく彼女の胸を揉みしだいた。 思わず、千尋が切羽詰まった声を上げる。 「ほら、言ってるそばから、そんな声出してやがる……やっぱりアンタは、いやらしいオンナなんだよ」 「ち、違うわ……」 「違わねえさ。なあ、認めちまいなよ、センセイ……本当は、こういうつもりで呼び出したんだろ?」 「わ、私はただ、あなたの話を聞くために……!」 弱々しい抵抗を遮るように、神乃木は胸元の敏感なところに指を這わせてゆく。 千尋はどうにか唇を噛んで声を抑えたが、触れられた先の部分が固く尖ってくるのは、隠しようもなかった。 「生徒のお手本になるはずのセンセイが、嘘をついちゃいけねえな。話を聞くより、もっといいコトをしたい……コイツは、そう言ってるみたいだぜ」 「…………っ!」 必死で耐えている千尋をからかうように、神乃木はさらにいやらしく指を蠢かせた。 神乃木の繊細な指の動きに合わせて、千尋の身体が小刻みに震える。同時に、抑えきれない吐息が、きつく結んだ唇からかすかにこぼれていた。 「嘘の次は、隠し事かい? 本当に、ワルいセンセイだよなあ……」 「……ねえ、神乃木君、お願い! もう、やめましょう……今なら、まだ……んっ!」 あらん限りの気力を振り絞って説得を続けようとする千尋を、神乃木は乱暴に唇を奪うことで強引に黙らせた。 そのまま千尋の唇をこじ開け、神乃木は無理矢理に舌を差し入れていく。 「んんっ……ん、ふぅ……っ……んっ!」 なおも何か言おうと激しく動く千尋の舌を、神乃木は自らの舌で絡めとった。 そして、撫でるように、奪うように、貪るように……神乃木の舌は千尋の中を、縦横無尽に犯しつくす。 「……んっ、……んん…………」 千尋は、神乃木の動きに合わせて舌を動かすことこそしなかったが、身体いっぱいに張りつめていたあらがう力は、明らかに弱まってきていた。 そんな千尋の変化を感じとってか、神乃木はそっと舌を抜き、千尋の目をじっと見つめて囁いた。 「なあ、センセイ……そろそろ、素直になってもいいんじゃねえか?」 「…………。神乃木君……」 このまま流れに身を任せたいという身体の声と、教師としてのモラルを守ろうとする心の声……同じ心に在る相反した声が代わる代わる聞こえてくるかのように、千尋の瞳は快楽と理性の間で揺れ動いていた。 |